夏休みが始まって、しばらく経ちました。
そろそろ宿題の進み具合が気になっているご家庭も多いのではないでしょうか。
「まだほとんど手をつけていない」
「声をかけても、なかなか始めない」
「このままでは最後に慌てることになりそう」
そんな子どもの姿を見ていると、
「早くしないと間に合わないよ」
「今のうちにやっておきなさい」
「今日はここまで終わらせよう」
と、何度も声をかけたくなります。
一方で、親が計画を立て、することを細かく指示しているうちに、「これは子どもの宿題なのか、それとも親の宿題なのか」と感じることもあるかもしれません。
子どもに任せることは、何も言わずに放っておくことではありません。
また、大人が代わりに計画し、答えを教えながら進めることでもありません。
子どもが自分の力で歩き出せるように、取り組みやすい枠をつくること。それが、大人にできる支えの一つです。
「やらない」のではなく、「始め方が分からない」こともある
宿題に取りかからない子どもを見ると、やる気がないように感じることがあります。
けれど実際には、
- 何から始めればよいか分からない
- 宿題全体が多く見えて気が重い
- 遊びから勉強へ気持ちを切り替えにくい
- 難しい問題があることを言い出せない
- 失敗したり間違えたりするのが嫌
- 疲れていて集中できない
といった理由が隠れているかもしれません。
「宿題をしなさい」という大きな言葉だけでは、子どもには最初の一歩が見えないことがあります。
まずは、どこで立ち止まっているのかを一緒に見つけてみましょう。
大人の役割は、取り組みやすい枠をつくること
シュタイナー教育では、正しい答えを出すことだけでなく、子どもが自分の手を動かし、自分の力で取り組む過程も大切にします。
宿題についても、大人がすべてを管理するのではなく、子どもが少しずつ自分で取り組めるよう支えます。
そのために家庭で試せるのが、次の3つの工夫です。
1.取り組む時間を暮らしの中に置く
毎日違う時間に「そろそろ宿題をしたら?」と声をかけると、子どもにとって宿題は、遊びを突然中断させるものになりやすくなります。
そこで、
- 朝食と身支度が終わったあと
- 午前中の自由時間の前
- 昼食のあとに少し休んでから
- おやつの前
など、毎日の暮らしの中に宿題の時間を置きます。
細かな時間割をつくる必要はありません。
「朝食のあとは、少し宿題をする」というように、すでにある生活の流れと結びつけると分かりやすくなります。
始める時間が近づいたら、
「あと10分で宿題の時間だね」
「この遊びが終わったら始めようか」
と、少し前に知らせます。
突然「今すぐ始めなさい」と言われるよりも、子どもは気持ちを切り替えやすくなります。
2.することを一つに絞る
「今日は宿題をしよう」
「午前中にできるだけ進めよう」
という言葉は、子どもにとって大きすぎることがあります。
宿題全体を目の前にすると、量の多さに圧倒され、始める前から嫌になってしまうこともあるでしょう。
そのようなときは、することを小さく分けます。
例えば、
- 漢字を1ページ書く
- 計算問題を3問解く
- 本を5ページ読む
- 自由研究のテーマを一つ考える
- 絵日記に書く出来事を決める
というように、最初の一歩を具体的にします。
大人がすべて決めるのではなく、
「今日は漢字と計算、どちらから始める?」
「この中から一つ選ぶとしたら、どれにする?」
と、子どもが選べるようにするのもよいでしょう。
自分で選んだことは、大人に一方的に決められたことよりも、取り組みやすくなる場合があります。
一つ終わったら、必ず次の課題を追加しなくても構いません。
「今日はここまで」と区切る経験も、無理なく続けるためには大切です。
3.困っているところを一緒に見つける
子どもの手が止まっていると、つい問題の解き方や答えを教えたくなります。
その前に、どこで困っているのかを聞いてみます。
「どこまで分かった?」
「どの言葉が難しそう?」
「最初に何をすればよいと思う?」
「問題を一緒に読んでみようか」
と、子どもが自分の考えを言葉にできるようにします。
問題文を読むところで困っているのか。
計算の方法を忘れたのか。
間違えることが不安なのか。
困っている場所が分かれば、大人が必要以上に手伝わずに済みます。
助けるときも、すべてを説明するのではなく、
「最初の一問だけ一緒にしよう」
「ここまで書いたら、続きはできそう?」
と、子どもが再び一人で進められる程度に手を添えます。
間違いをすぐに直しすぎない
子どもの宿題を見ていると、文字の形や計算間違いが気になることがあります。
間違いを見つけるたびに指摘すると、子どもは自分で考えるよりも、大人の表情や反応を気にするようになることがあります。
すべてをその場で直そうとせず、まずは子どもが一区切りつくまで待ってみましょう。
そのうえで、
「もう一度見てみたいところはある?」
「この二つの答えを比べると、何か気づく?」
と、自分で確かめる機会をつくります。
学校から丸つけの方法などが指定されている場合は、その方針に沿いながら、必要な範囲で支えます。
大切なのは、間違えないことだけではなく、間違いに気づき、もう一度考える経験です。
予定どおりに進まない日があっても大丈夫
夏休み中、毎日同じように宿題へ取り組めるとは限りません。
お出かけをした日。
暑さで疲れている日。
遊びに夢中になった日。
親子ともに余裕がない日。
そのような日があっても、これまでの積み重ねがなくなるわけではありません。
できなかった分を翌日にすべて加えると、宿題がさらに大きく見えてしまうことがあります。
「今日はできなかったから、明日の朝に一つだけやろう」
と、再び小さな一歩から始めます。
暮らしのリズムは、毎日完璧に守るための決まりではありません。崩れたときに戻ってこられる流れです。
子どもの宿題を、親の宿題にしないために
親として、夏休みの終わりに子どもが困らないようにしてあげたいと思うのは自然なことです。
けれど、大人がすべてを管理すると、宿題が「自分のすること」ではなく、「親にさせられること」になってしまう場合があります。
大人ができるのは、
- 取り組む時間を整える
- 課題を小さく見えるようにする
- 困っているところを一緒に探す
- 必要なときだけ手を添える
- できなかった日にも戻る場所をつくる
子どもの代わりに進むのではなく、一人で歩き出せるように道を整えます。
まずは今日、宿題を一つだけ、小さく分けるところから始めてみませんか。
