「見て、この葉っぱ!」
帰り道、立ち止まった子どもが声をかけてきます。
けれど、大人の頭の中には、帰ってからの予定がいくつも浮かんでいます。夕食の支度、洗濯物、明日の準備。「早く帰ろう」と言いたくなる日もあるでしょう。
そんな毎日のなかでも、少し余裕のある日には、子どもが見つけたものを一緒に眺めてみませんか。
葉っぱの色や形、足元に落ちた木の実、どこからか聞こえる虫の声。
いつもの道にも、親子で出会える小さな発見があります。
子どもは、どこを見ているのでしょう
大人が何気なく通り過ぎる場所で、子どもが足を止めることがあります。
色の違う葉っぱを見つけたのかもしれません。小さな穴の開いた葉が気になったのかもしれません。風に揺れる草を、面白がっていることもあるでしょう。
「秋らしいもの」を探している大人の隣で、子どもはまったく別のところに目を向けているかもしれません。
そんなときは、その子が見ているものを一緒に眺めてみます。
何を面白いと感じているのか。どんな形や動きに心を寄せているのか。
少し隣にいるだけで、大人も見過ごしていたものに気づくことがあります。
名前が分からなくても、一緒に楽しめる
子どもに草花や虫を見せたいけれど、名前をよく知らない。質問されても、答えられるか分からない。
そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。
名前が分からない葉っぱも、色や形を眺めて楽しむことができます。
「端っこが赤くなっているね」
「こっちは、ずいぶん大きいね」
「葉っぱの周りが、ぎざぎざしているね」
目の前にあるものについて、気づいたことをそのまま言葉にしてみます。
子どもが名前を知りたがったら、あとで一緒に調べるのもよいでしょう。
言葉が出てこなければ、ただ一緒に見ている時間があっても構いません。「きれいだね」と同じ葉っぱを眺める。それだけでも、親子で楽しめるひとときになります。
いつもの道で楽しむ、3つの小さなこと
気になるものに出会ったときには、例えばこんな楽しみ方があります。その日の様子に合うものを、一つ選ぶくらいで十分です。
葉っぱの色や形を見比べる
足元の葉や、手の届く枝についている葉を眺めてみます。
細長いもの、丸いもの。緑の濃いもの、少し色が変わっているもの。
同じように見えた葉っぱにも、よく見ると違いがあります。
子どもが「こっちの葉っぱが好き」と言ったら、「この葉っぱが気に入ったんだね」と、その好みを受け取ってみます。
木の実の形を眺める
木の実が落ちていたら、大きさや形を見てみます。
丸いもの、細長いもの、帽子のような部分がついているもの。
子どもが何かに見立てて話し始めたら、そのお話を聞いてみるのも楽しそうです。見つけたものをすべて持ち帰らなくても、その場で眺めて楽しむことができます。
少しだけ、音に耳を澄ませる
風に揺れる葉の音や、鳥や虫の声。
姿は見えなくても、耳を澄ませると気づくものがあります。
「今、聞こえたね」
「あちらの方から聞こえるね」
帰り道だけでなく、家の窓辺で耳を傾けるひとときがあってもよいでしょう。
季節の進み方や出会えるものは、地域や日によって違います。まだ秋らしい変化が見つからなくても、今、目の前にある景色を親子で楽しめたらと思います。
立ち止まれない日があっても大丈夫
季節を感じる時間を大切にしたいと思っても、毎日ゆっくり歩けるわけではありません。
子どもが何かを見つけても、急いで帰らなければならない日もあります。
そんなときは、
「大きな葉っぱを見つけたんだね。今日は急いで帰ろうね」
と、短く応えるだけでもよいでしょう。
毎日の観察や記録を、新しい仕事にしなくても大丈夫です。子どもがあまり興味を示さない日にも、無理に何かを見つけさせる必要はありません。
余裕のあるときに、心が動いたものを少し一緒に味わう。
親子にとって心地よい範囲で、楽しんでいけたらと思います。
いつもの帰り道に、小さな秋を
子どもの「見て!」に足を止めてみると、いつもの道が少し違って見えるかもしれません。
葉っぱの端にある赤い色。風に揺れる草の動き。耳を澄ませて、ようやく気づいた小さな声。
大人が見つけたものを、「この葉っぱ、きれいだね」と子どもに伝える日があってもよいでしょう。
今度、親子のどちらかが何かに心を留めたら、ほんのひととき、一緒に眺めてみませんか。
いつもの帰り道に、小さな秋を分かち合う時間を。
