もうすぐお盆を迎えます。
お墓参りをしたり、花や食べ物をお供えしたり、親戚と集まったり。静かに家族を思いながら、いつも通りに過ごすご家庭もあるでしょう。
お盆の意味や迎え方は、地域、宗教、家族の習慣によってさまざまです。
どのように過ごすのが正しいかを決めるのではなく、それぞれの家庭に受け継がれてきたものを大切にしたいものです。
お盆は、子どもに難しい知識を教えるためだけの行事ではありません。
家族の写真を見る。
昔の話を聞く。
受け継がれてきた料理を味わう。
大切な人を思って、花を飾る。
そうした小さな営みを通して、子どもが家族の物語や、いのちのつながりに触れる時間にもなります。
子どもから尋ねられたら
お盆を迎える中で、子どもから質問されることがあります。
「この写真の人は誰?」
「どうしてお供えをするの?」
「ご先祖さまって何?」
「亡くなった人は、どこにいるの?」
すぐに立派な答えを用意しなくても大丈夫です。
例えば、
「お母さんが小さかったころ、よく遊んでくれた人だよ」
「このお料理が大好きだったんだよ」
「ずっと前に生きていて、私たちへいのちをつないでくれた人たちだよ」
と、その人について知っていることや、心に残っている思い出を一つ話してみます。
大人にも分からないことなら、
「本当のことは分からないけれど、お母さんはこう思っているよ」
と、正直に話すこともできます。
答えを急いで与えるより、子どもの問いを大切に受け取ることから始めます。
昔の写真を一緒に見る
家族の物語を伝える一つの方法が、昔の写真を見ることです。
たくさんの写真を用意する必要はありません。一枚だけでも十分です。
写真を見ながら、
「このころ、おばあちゃんはこんな仕事をしていたんだよ」
「この家には大きな柿の木があったんだって」
「お父さんも、子どものころは虫取りが好きだったんだよ」
と、日常の小さな出来事を話してみます。
歴史を正確に説明することよりも、その人が笑ったり、働いたり、誰かを大切にしたりしながら暮らしていたことが伝わる話を選びます。
子どもが途中で別の遊びへ移ったとしても、最後まで聞かせようとしなくて構いません。
短い物語も、子どもの心の中に静かに残っていくことがあります。
家族の味を一緒につくる
毎年お盆になると食べる料理や、家族に受け継がれてきた味はあるでしょうか。
特別な伝統料理でなくても、
「おじいちゃんが好きだったおにぎり」
「おばあちゃんがよくつくってくれた煮物」
など、思い出のある食べ物を一緒につくることができます。
子どもには、
- 野菜を洗う
- とうもろこしの皮をむく
- 食器を並べる
- お団子を丸める
- お供えするものを運ぶ
など、年齢に合った仕事を任せます。
味や香り、手の感触とともに経験したことは、説明だけでは得られない形で子どもの中に残ります。
一輪の花を飾る
お墓参りや親戚との集まりが難しいご家庭もあるでしょう。
その場合は、季節の花を一輪飾るだけでも、大切な人を思う時間をつくれます。
子どもと花を選び、小さな器に生けてみます。
「今日は、大切な人たちを思うために飾ろうね」
と、短く伝えます。
長い時間、静かに座らせる必要はありません。花を飾り、ほんの少し手を合わせるだけでもよいのです。
その家庭にとって無理のない形を見つけます。
悲しみがまだ近くにあるときは
大切な人を亡くして間もない場合、お盆を迎えること自体がつらいこともあります。
子どもに話してあげなければ、お墓参りをしなければと、無理をする必要はありません。
言葉にできないときには、一輪の花を飾る。好きだった食べ物をそっと置く。それだけでもよいでしょう。
子どもが悲しんだり、同じ質問を繰り返したりするときは、
「会いたくなったんだね」
「思い出したんだね」
「一緒に写真を見ようか」
と、その気持ちに寄り添います。
悲しみを急いで消そうとせず、家族それぞれの感じ方を大切にします。
家族の物語を一つだけ
お盆を特別な行事にしなければと、頑張りすぎなくても大丈夫です。
昔の写真を一枚見る。
思い出の料理を一品つくる。
一輪の花を飾る。
家族の物語を一つ話す。
その中から、できそうなことを一つ選んでみませんか。
子どもは、自分の目の前にいる家族だけでなく、その前にも多くの人の暮らしがあり、いのちがつながってきたことを、少しずつ感じていくのかもしれません。
それぞれのご家庭にとって、穏やかなお盆となりますように。
次回の投稿について
次回の投稿は、お盆明けを予定しています。
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皆さま、どうぞ穏やかな時間をお過ごしください。
