「まだ途中だから、片づけないで」
夕食の準備を始めたいときや、一日の終わりに部屋を整えたいとき。子どもから、そんな言葉が返ってくることはありませんか。
机の上には描きかけの絵。床には、作りかけの工作と材料。
そろそろ片づけたい大人にも、まだ残しておきたい子どもにも、それぞれの気持ちがあります。
そんなときに試してみたいのが、家の中に「続きの場所」を一つだけつくることです。
全部をそのまま残すのではなく、暮らしに無理のない範囲で、遊びの続きを置いておける小さな場所を用意してみます。
大人には片づけるものでも、子どもには「途中」かもしれません
作りかけのものを見たとき、大人は「終わったのなら、片づけよう」と考え
けれど、子どもはまだ、続きを思い描いているのかもしれません。
「ここに、もう一つ窓をつけたい」
「明日は、この絵の続きを描きたい」
今は手を止めていても、子どもにとっては、まだ終わっていない遊びもあるでしょう。
もちろん、すべてに明確な計画があるわけではありません。「何となく残しておきたい」という日もあります。
まずは「まだ途中なんだね」と受け止めてから、どこまで残せるかを一緒に考えてみます。残したい気持ちを受け取ることと、何でもそのままにしておくことは、別に考えてよいのです。
「続きの場所」は、小さな一角から
特別な収納用品を買ったり、専用の部屋を用意したりする必要はありません。
たとえば、家にあるものを使って、こんな場所をつくれます。
- 作りかけの工作は、小さな箱ひとつに。
- 描きかけの絵は、決めた棚の一角に。
- 細かな材料は、お盆にのる分だけ。
「続きにしたいものは、ここに置いておこうか」
そう声をかけて、残しておきたいものを子どもと一緒に選びます。
工作を始めるときからお盆やトレーを使っておくと、途中でもひとまとまりにして移動しやすくなります。完成前のものを動かすときは、壊れやすいところがないか、子どもに確かめてみてもよいでしょう。
大切なのは、立派な場所をつくることではなく、「今は終わりにするけれど、続きを置いておける場所がある」という小さな工夫です。
場所と期間は、家族の暮らしに合わせて
子どもの遊びを大切にしたくても、食卓や通り道をずっと使い続けるわけにはいきません。きょうだいが使う場所や、大人が落ち着いて過ごせる空間も必要です。
残す場所だけでなく、いつまで置いておくかも、無理のない範囲で相談してみます。
「この箱に入る分を残しておこう」
「ここはごはんを食べる場所だから、棚に移そうね」
「日曜日に、残しておきたいものをもう一度一緒に見てみようか」
期限は、必ず完成させるための締め切りではなく、置いておくものを見直すきっかけにできます。
毎日きちんしようとしなくても大丈夫です。まずは一つ、残せそうなものがある日に試してみるくらいでよいでしょう。
残しておけない日があっても大丈夫
大きな積み木の家や、部屋いっぱいに広げた遊びなど、そのまま残すことが難しい場合もあります。
そんなときは、残せない理由と、子どもの気持ちの両方を言葉にしてみます。
「まだ置いておきたいんだね。でも、ここは通る場所だから、今日は片づけよう」
すぐには納得できないこともあるでしょう。言い方を工夫すれば、必ず気持ちよく片づけられるというわけではありません。
片づける前に、子どもが見せたいところを一緒に眺める。本人が望めば、写真を一枚撮っておく。そうした方法を選べる日もあります。
ただし、毎回写真を撮ったり、記録を残したりする必要はありません。作品を残せない日があっても、そこで遊んだ時間まで、なかったことになるわけではないのです。
「今日は、ここまで。また明日」
一日の終わりに、部屋を整えること。子どもが楽しんでいる遊びの続きを大切にすること。
どちらか一方だけを選ばなくても、小さな工夫で両方を取り入れられる日があります。
「今日は、ここまで。また明日」
そんな言葉とともに、作りかけのものを置いておける小さな場所を一つ。
残せる日も、残せない日もあって大丈夫です。子どもの思いと、家族の暮らしの両方を大切にしながら、ご家庭に合う形を見つけてみてください。
