「見て! この葉っぱ、赤と黄色!」
道を歩いているとき、子どもが足を止めて、一枚の葉っぱを見せてくれる。
そんなとき、知っている名前や、色が変わる理由を教えたくなることはありませんか。
子どもの興味に応えたい。せっかくの機会だから、何か伝えてあげたい。その気持ちも、大切なものです。
けれど、説明を始める前に、ほんのひと呼吸。
「ほんとだ。二つの色があるね」
そう言って、子どもと同じものを眺めてみる。今回は、そんな小さな関わり方について考えてみます。
「見て!」は、発見を分かち合いたい声かもしれません
子どもが「見て!」と呼びかけるとき、いつも何かを教えてほしいとは限りません。
「きれいな色を見つけたよ」
「こんな形、おもしろいね」
「私が見つけたものを、一緒に見てほしい」
そんな気持ちが、その一言に重なっていることもあるでしょう。
大人には見慣れた葉っぱでも、その子にとっては、今日初めて気づいた色の組み合わせかもしれません。
まずは、子どもが何に目を留めたのか、少しだけ一緒に見てみます。
名前を知る時間も、仕組みを学ぶ時間も大切です。それと同じように、「見つけたね」「おもしろいね」と発見を分かち合う時間も、大切にしてよいのだと思います。
上手な質問よりも、目の前にあるものを一緒に
子どもの興味を広げようとして、「何色がある?」「どうしてだと思う?」と質問したくなることもあります。
もちろん、問いかけから楽しい会話が始まることもあります。ただ、毎回よい質問を考えたり、何かに気づいてもらおうとしたりする必要はありません。
たとえば、こんな短いやり取りでもよいでしょう。
子ども:「見て! この葉っぱ、赤と黄色!」
大人:「ほんとだ。ここは、まだ緑だね」
子ども:「こっち側だけ赤いんだよ」
子どもの言葉を受け取り、自分にも見えたことを少し添える。それだけでも、やり取りを楽しめます。
会話が続かなければ、しばらく眺めて、そのまま歩き始めても大丈夫です。
大げさに驚いたり、特別な感想を伝えたりしなくてもかまいません。大人も自分の言葉で、「ほんとだね」と応えられたら十分です。
「どうして?」と聞かれたら、知りたい気持ちに応える
「教える前に、一緒に見る」というのは、説明を控え続けるという意味ではありません。
「どうして葉っぱの色が変わるの?」
そんな質問が出たら、知っていることを伝えたり、図鑑などで一緒に調べたりしてよいでしょう。
まずは、聞かれたことに短く答えてみる。さらに知りたそうなら、そこから話を広げていきます。
わからないときは、無理に答えを用意せず、
「どうしてだろうね。あとで調べてみようか」
と伝えることもできます。
大切なのは、説明するか、しないかの二択ではなく、そのときの子どもが何を求めているかに目を向けること。
発見を見せたいときもあれば、名前を知りたいとき、理由をじっくり聞きたいときもあります。その子、その日の様子に合わせて、やり取りを変えてよいのです。
忙しくて、すぐには見られない日もあります
食事を作っているときや、出かける準備で手いっぱいのとき。何度も「見て!」と呼ばれて、余裕を持って応えられない日もあるでしょう。
いつでも手を止めなければ、と考えなくても大丈夫です。
「今は火を使っているから、少し待ってね」
そんなふうに、今の状況を伝えることも大切です。手が空いたときに、「さっき、何を見つけたの?」と声をかける方法もあります。
また、つい長く説明してしまったからといって、やり直さなければならないわけでもありません。
知っていることを伝えた時間も、親子の会話の一つです。次に「見て!」と呼ばれたとき、今日のことを少し思い出せたら、それで十分ではないでしょうか。
教える時間と、一緒に眺める時間の両方を
子どもとの時間を、いつも学びにつなげようとしなくても大丈夫です。
一枚の葉っぱを眺める。
同じところに目を留める。
「ほんとだね」と、短く言葉を交わす。
何かを覚えたかどうかでは測れない、そんなひとときもあります。
説明しないのではなく、まず、一緒に見る。
次に子どもから「見て!」と呼ばれたら、答えを探す前に、少しだけ同じものを眺めてみませんか。
無理のないところから、子どもの発見を一緒に楽しめたらいいですね。
