「やってみたい」と「こわい」のあいだで―子どもの小さな勇気を見守る

子どもの勇気をイメージした画像

「やってみたい。でも、こわい」

初めての遊びに近づいては、少し離れて見ている。みんなの様子を気にしながら、なかなか輪に入れない。

そんな子どもの姿を見ると、「大丈夫だから、やってごらん」と背中を押したくなることがあります。

楽しさを知ってほしい。できた喜びを味わってほしい。親として、そんな思いもあるでしょう。

けれど、子どもは「やってみたい」と「こわい」のあいだで揺れているのかもしれません。

今回は、そのためらいにも目を向けながら、子どもの小さな勇気をどう見守れるか、考えてみたいと思います。

秋のミカエル祭と「勇気」

9月29日は、天使ミカエルにちなむミカエル祭の日です。

シュタイナー学校のなかには、この時期に、物語や活動を通して勇気に親しむ学校があります。

例えば、竜の登場する物語を劇で表現したり、体を動かす遊びに取り組んだりしながら、ミカエル祭を祝っています。

こうした季節の行事にちなみ、家庭でも、子どもにとっての「勇気」に目を向けてみるのはいかがでしょうか。

大人には何気なく見えることにも、その子なりの小さな挑戦があるかもしれません。

ためらっているとき、何を感じているのでしょう

子どもが動き出さない理由は、外から見ただけでは分からないことがあります。

遊び方が分からないのかもしれません。うまくできるか気になっているのかもしれません。誰に声をかければよいのか、迷っていることもあるでしょう。

あるいは、今は見ているだけで楽しいのかもしれません。

そこで、すぐに参加を促す前に、少し様子を眺めてみます。

何を見ているのか。どこまで近づこうとしているのか。何か話したそうにしているか。

「ちょっと気になるんだね」
「何か心配なことがある?」

そんな言葉を添えて、子どもの気持ちを聞いてみることもできます。

理由をうまく話せないときには、答えを急がず、一緒に見ている時間があってもよいでしょう。

「まず、一緒に見ていようか」

初めての遊びを前にためらっているなら、

「まず、一緒に見ていようか」

と声をかけてみます。

どんな遊びなのか、どのように始めるのか。大人も隣で眺めながら、子どもが気づいたことや、知りたくなったことを聞いてみます。

本人から「やってみようかな」という言葉が出たら、その子に合う始め方を一緒に考えます。

「最初は一緒にやってみる?」
「一回だけ試してみようか」

初めから全部に参加することを目標にせず、その子が試してみたいと思える範囲を相談してみるのです。

もちろん、本人が自分で始めようとしているときは、その様子を見守ります。どのくらいの手助けが必要かも、その子や、その日の気持ちによって違ってよいと思います。

暮らしのなかにも、小さな勇気がある

勇気が必要になる場面は、特別な行事や大きな挑戦だけではありません。

  • 初めての遊びに加わってみる
  • 聞きたいことを、先生に自分の言葉で尋ねる
  • 分からないときに、「教えて」と伝える
  • 困ったときに、「手伝って」と頼む

大人には小さく見えることでも、本人にとっては思い切った一歩かもしれません。

そんな場面に気づいたら、

「聞きたかったことを、伝えられたね」
「困っていることを、話してくれたんだね」

と、実際にあったことを言葉にしてみます。

うまくできたかどうかに加えて、そこに至るまでに、その子が何を感じ、何をしようとしていたのかにも目を向けていたいと思います。

見ている日、途中で終える日があっても

「やってみたい」と言っていた子どもが、途中で「やっぱりやめる」と言うこともあります。

そんなときは、何が気になったのかを聞き、続け方を変えるか、今日は終えるかを相談してみます。

「今日は、ここまでにしようか」

と区切ってよい場面もあるでしょう。

見ているだけの日があっても、その日のうちにできるようにならなくても構いません。

また、こわいと感じているものが、本当に危ないものだったり、嫌な思いをする状況だったりする場合もあります。そのときは、離れたり、大人に助けを求めたりすることを大切にしたいと思います。

子どもの「こわい」に、まず耳を傾ける。そこから、その子に必要な関わりを考えていきましょう。

その子なりの「やってみよう」を見守る

大人が、いつも上手に励まさなければならないわけではありません。

「やってごらん」と声をかけたあとでも、

「どうしたい?」
「少し一緒に見ていようか」

と、子どもの気持ちを聞き直すことができます。

家庭で新しい挑戦を次々に用意しなくても、日々のなかに、その子の心が動く瞬間はあると思います。

近づいてみたこと。ひと言尋ねたこと。助けてほしいと伝えたこと。

一歩の大きさを周りと比べず、その子にとってどのような経験だったのかを、一緒に受け止めていく。

「やってみたい」と「こわい」のあいだで揺れる時間も大切にしながら、その子なりの「やってみよう」を、そばで見守っていけたらと思います。

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