かけっこで負けた。ゲームで勝てなかった。
涙が出たり、うつむいたりする子どもを見て、
「また次があるよ」
「最後まで頑張ったんだから」
と、励ましたくなることはありませんか。
元気になってほしい。楽しかったことも思い出してほしい。そんな親の気持ちも、自然なものだと思います。
けれど、子どもはまだ、くやしい気持ちを抱えているのかもしれません。
今回は、負けて落ち込んでいる子どもに、どのように寄り添えるかを考えてみたいと思います。
「くやしい」の中身は、その子によって違う
一番になりたかった。練習したことを出せなかった。あと少しで勝てそうだった。
同じ「負けた」という出来事でも、何をくやしく感じているかは、その子によって違います。
外から見ただけでは、分からないこともあるでしょう。
子どもが話してくれるようなら、その言葉に耳を傾けてみます。
「最後に抜かれちゃった」
と言ったら、
「最後に抜かれたのが、くやしかったんだね」
と、話してくれたことを受け取る。
「勝ちたかった」と言ったら、
「勝ちたかったんだね」
と応えてみる。
大人の想像だけで気持ちを決めず、子どもの言葉や様子を手がかりにしていきます。
「くやしかったね」と、短く声をかける
うまい励ましの言葉が見つからないときには、
「くやしかったね」
と、短く声をかけてみる方法があります。
まだ何も話していない子には、
「くやしかったのかな」
と、確かめるように尋ねてもよいでしょう。
もちろん、この言葉がいつもぴったり合うとは限りません。
「そうじゃない」と言われたら、子どもの話を聞き直してみます。返事がなければ、言葉を足さずに待つこともできます。
声をかけたあとも、涙が止まらないことはあるでしょう。
そんなときも、すぐに笑顔に戻そうと急がず、その子の様子を見ながら過ごしてみます。
話したくないときは、一緒にひと息つく
負けた直後には、何も話したくない子もいるかもしれません。
そんな様子が見られたら、
「少し休もうか」
「今は話さなくてもいいよ」
と伝えて、会話をいったん休んでもよいでしょう。
水を飲んで、一緒にひと息つく。帰り道、しばらく黙って歩く。家に帰って、いつもの支度をする。
気持ちについて話し続けなくても、一緒に過ごす方法はあります。
一人になりたそうなら、少し距離を取って、
「話したくなったら、聞くね」
と伝えることもできます。
そばにいてほしいのか、静かにしておいてほしいのか。その日の子どもの様子に合わせて、関わり方を選んでいけたらと思います。
振り返りは、本人が話したくなったときに
大人には、
「次は、こうしたらどうかな」
「あの場面で、もう少し工夫できたかもしれないね」
と、伝えたいことが浮かぶ場合もあるでしょう。
けれど、作戦や次の目標を考える話は、少し時間を置いても。
子ども自身が、
「あそこ、どうしたらよかったんだろう」
「もう一回やってみたい」
と話し始めたら、そこから一緒に考えてみます。
「どのところが気になっている?」
「次は、何を試してみたい?」
と、本人の考えを聞いてみることもできます。
その日のうちに、次の目標まで決めなくても大丈夫です。
親も、毎回上手に寄り添えなくて大丈夫
子どもが泣いていると、大人も困ったり、焦ったりします。
時間に追われている日には、「もう泣かないで」と言ってしまうこともあるでしょう。
いつでも落ち着いて、ちょうどよい言葉を選ぶのは難しいものです。
あとから気になったら、
「さっきは急いで帰っちゃった。まだ話したいことはある?」
と、声をかけ直すこともできます。
子どもがもう別のことを楽しんでいるなら、無理に話を戻さなくても構いません。
親も、自分にできる範囲で。
「今日は、少し黙って待ってみよう」
「まず、どんな気持ちか聞いてみよう」
そんな小さな関わり方を、一つずつ試していけたらと思います。
勝った日も、負けた日も
勝ってうれしかった日には、一緒に喜ぶ。
負けてくやしかった日には、
「くやしかったね」
と、その気持ちに耳を傾ける。
子どもの経験には、すぐに言葉にできないことも、笑顔では終われないこともあります。
そんな時間にも、大人が隣にいられるときは、少し一緒にいる。
励ましの言葉が見つからない日も、話が続かない日も、その子の様子を眺めるところから始められます。
勝ってうれしかった日も、負けて涙が出た日も。
その日の子どもの気持ちに、そっと寄り添っていけたらと思います。
