新学期の朝、笑顔でなくても大丈夫|子どもの不安に寄り添うために

新学期を迎える子どもの不安に寄り添い、前夜や朝、帰宅後にできる関わり方を紹介する記事のアイキャッチ画像

京都市内の多くの小学校では、今日から新学期が始まります。

久しぶりに友達に会えることを楽しみにしている子。少し緊張している子。夏休みが終わるのを寂しく感じている子。

自分でも、今の気持ちがよく分からない子もいるでしょう。

新学期を迎える気持ちは、一人ひとり違います。

子どもに元気がないと、親は心配になり、

「大丈夫?」
「学校が始まったら、きっと楽しいよ」
「明日から頑張ろうね」

と励ましたくなるかもしれません。

けれど、新学期の朝は笑顔でなくても大丈夫です。

子どもの気持ちを急いで前向きなものに変えるよりも、まずは、今感じていることをそのまま受け取ってみませんか。

新学期を楽しみにできなくても大丈夫

大人は、新学期を前向きな気持ちで迎えてほしいと願います。

しかし、子どもにとって夏休みから学校生活への移行は、大きな変化です。

起きる時間が変わる。
長い時間、集団の中で過ごす。
先生や友達と再会する。
勉強や係の活動が始まる。

新しい学期への期待と不安を、同時に感じることもあります。

「学校に行きたくない」
「夏休みが終わるのが嫌」

という言葉が出たときも、それがその子の気持ちのすべてだと、すぐに決める必要はありません。

今この瞬間の寂しさや緊張が、言葉になって表れているのかもしれません。

励ます前に、気持ちを受け取る

子どもが不安を口にしたときには、すぐに理由を聞き出したり、解決策を示したりせず、まず言葉を受け取ります。

例えば、

「そう思っているんだね」
「夏休みが終わるのが寂しいんだね」
「少し緊張するね」
「何か気になることがあるのかな」

と、短く返してみます。

「そんなことを言わなくても大丈夫」ではなく、「そう感じていること」を認める言葉です。

子どもが話し始めたら、途中で結論を急がずに聞きます。話したくなさそうであれば、無理に聞き出さなくても構いません。

言葉にできることだけが、子どもの気持ちではありません。そばに座る、一緒に持ち物を用意する、いつもの本を読むといった時間の中で、少しずつ気持ちが表れることもあります。

いつもの営みが子どもを支える

シュタイナー教育では、暮らしの中に繰り返されるリズムを持つことを大切にします。

リズムは、子どもを予定どおりに動かすためだけのものではありません。

朝になったらカーテンを開ける。
いつもの食卓で朝食をとる。
夜になったら静かな時間を過ごす。

「いつものこと」が繰り返されることで、子どもは次に何が始まるのかを感じやすくなります。

新学期だからと特別に元気づけなくても、日々の何気ない営みが、子どもの一歩を静かに支えてくれます。

新学期の朝は、言葉を増やしすぎない

新学期の朝、子どもが不安そうにしていると、親も落ち着かなくなることがあります。

何度も時間を確認したり、

「忘れ物はない?」
「本当に大丈夫?」
「しっかり頑張ってね」

と、たくさんの言葉をかけたりしたくなるかもしれません。

しかし、大人の心配が言葉として重なると、子どもの緊張がさらに強くなる場合もあります。

必要な準備を整えたら、

「いってらっしゃい」
「帰ってきたら、ゆっくりしようね」

と、短い言葉で送り出します。

「頑張ってね」が悪いわけではありません。ただ、すでに十分頑張ろうとしている子には、「帰ってきたら待っているよ」という言葉のほうが安心につながることもあります。

笑顔で出発できなくても、それだけで新学期がうまくいかないわけではありません。

玄関を出られたこと。学校へ向かおうとしたこと。その一歩を静かに見送ります。

帰宅後は、まず「おかえり」

新学期初日を終えた子どもが帰ってくると、親は学校での様子を知りたくなります。

「新しい席はどこだった?」
「友達と話せた?」
「先生は何と言っていた?」
「学校は楽しかった?」

と、たくさん尋ねたくなるでしょう。

けれど、学校で長い時間を過ごしてきた子どもは、まだ一日を言葉にできないことがあります。

まずは、

「おかえり」

と迎えます。

その後は、おやつを食べる、少し横になる、好きな遊びをするなど、家庭の時間へ戻れるようにします。

すぐに学校の話をする子もいれば、しばらくしてから話し始める子もいます。夕食のときや眠る前、あるいは数日後に、ふと話すこともあるでしょう。

話したくなったときに聞けるよう、扉だけを開いておきます。

「楽しかった?」以外の尋ね方

子どもの様子を聞きたいときは、「楽しかった?」と答えを限定しない質問も使えます。

例えば、

「今日は、どんな一日だった?」
「何か心に残ったことはあった?」
「疲れたことはあった?」
「話したくなったら聞かせてね」

と尋ねます。

「分からない」「別に」と答えたら、それ以上聞かずに終えても構いません。

子どもにとって、学校へ行った日の感想を上手に説明することが、もう一つの課題にならないようにします。

新学期の一日目を評価しない

新学期初日に元気に登校し、楽しく帰ってくることを期待しすぎなくても大丈夫です。

緊張して疲れることもあります。思っていたように友達と話せないことや、忘れ物をすることもあるでしょう。

反対に、初日は元気でも、数日後に疲れや不安が表れることもあります。

一日の様子だけで、

「もう大丈夫」
「新学期はうまくいかなかった」

と決めず、しばらくゆっくり見守ります。

帰宅後の予定を詰め込みすぎず、早めに休める時間をつくることも大切です。

安心して帰れる場所があること

新学期の一日は、元気よく始めなくても、上手に過ごせなくても大丈夫です。

安心して帰れる場所があること。
いつもの人が待っていること。
うまく言葉にできない日にも、静かに迎えてもらえること。

そうした日々の積み重ねが、新しい生活へ向かう子どもの力になります。

子どもの表情をすぐに明るくしようとせず、その日の気持ちをそのまま迎えてみませんか。

新学期を迎えるすべてのご家庭に、穏やかな朝が訪れますように。

よかったらシェアしてね!