夏休みになると、子どもが家で過ごす時間が長くなります。
暑さのために外で遊べる時間が限られ、動画やゲームに触れる機会が増えるご家庭も多いのではないでしょうか。
「そろそろ終わりにしよう」
「あと少しだけ!」
「もう約束の時間でしょう?」
同じやり取りを毎日のように繰り返していると、親子ともに疲れてしまいます。
できれば穏やかに終えてほしいと思っていても、声をかけるたびに言い合いになり、最後には機器を取り上げることになってしまう。そんな日もあるかもしれません。
今回は、動画やゲームを一方的に禁止するのではなく、始まりと終わりのある時間として暮らしの中に置くための工夫をご紹介します。
子どもにとって「楽しいことを終える」のは難しい
夢中になっている動画やゲームを途中でやめることは、子どもにとって簡単ではありません。
大人でも、面白い本や映画を途中で中断したり、何かに集中しているときに別のことへ切り替えたりするのは難しいものです。
特に、終わりの時間を知らされないまま始めた場合、子どもには大人の「もう十分でしょう」が突然の出来事に感じられます。
そのため、見始めてから話し合うよりも、始める前に終わりまでの流れを一緒に確認しておくことが大切です。
禁止するだけでなく、暮らしのリズムの中に置いて考える
動画やゲームとの付き合い方に、すべての家庭に共通する一つの正解があるわけではありません。
子どもの年齢や性格、家庭の事情、保護者の仕事などによって、あり方は違ってきます。
大切なのは、なんとなく見始めて、なんとなく長く続いてしまう状態から、始まりと終わりを見通せる時間へ変えていくことです。
動画やゲームの時間も、一日の流れの中に置いてみましょう。
始める前に確認したいのは、次の3つです。
1.いつ始めるのかを決める
まずは、動画やゲームを始めるタイミングを決めます。
例えば、
- 昼食のあと
- 宿題を一つ終えてから
- お手伝いを済ませてから
- 外遊びから帰り、少し休憩してから
など、その家庭の暮らしに合ったタイミングを選びます。
「時間が空いたらいつでも見る」という状態ではなく、一日の中におおよその場所を決めることで、子どもにも流れが分かりやすくなります。
動画やゲームを何かの「ごほうび」にする必要はありません。
「宿題を全部終えなければ見られない」という条件が負担になる場合は、「昼食のあとに見る」など、毎日のリズムと結びつけてもよいでしょう。
2.どこで終えるのかを決める
次に、終わりを子どもにも分かる形で決めます。
「少しだけ」
「長くなりすぎないように」
といった曖昧な約束は、大人と子どもで受け取り方が異なります。
例えば、
- 時計の長い針がここに来るまで
- タイマーが鳴るまで
- この動画を一つ見たら
- ゲームを一回終えたら
など、目で見たり音で聞いたりして分かる終わりを決めます。
「30分」などの時間だけで理解しにくい場合は、時計を一緒に見ながら、
「この針が6のところに来たら終わりだよ」
と伝えると分かりやすくなります。
終わる少し前には、
「あと5分だね」
「この一回が終わったら、おしまいだね」
と知らせます。
子どもが自分で終えるための準備時間を持てるようにします。
3.終わったあとに何をするのか決める
動画やゲームをやめることだけを求められても、その後に何をすればよいのか分からなければ、子どもは切り替えにくいことがあります。
そこで、始める前に「終わったら何をするか」も伝えておきます。
例えば、
- おやつを食べる
- お風呂に入る
- 夕食の準備を手伝う
- 洗濯物を取り込む
- 一緒に買い物へ行く
- 好きな本を読む
など、具体的な次の行動につなげます。
「もう終わり」だけではなく、
「終わったら、おやつにしよう」
「ゲームを終えたら、一緒にとうもろこしの皮をむこう」
と伝えることで、気持ちを次の時間へ向けやすくなります。
静かな活動から身体を使う活動へ移るなど、異なる種類の時間へ切り替えるのも一つの方法です。
約束は、始める直前に短く確認する
家族でルールを話し合っていても、子どもが毎回覚えているとは限りません。
動画やゲームを始める直前に、
「今日は昼食のあとから、時計の針が6になるまで。終わったらおやつにしようね」
と、短く確認します。
長い説明や注意を繰り返すよりも、
- いつ始めるか
- どこで終えるか
- 終わったら何をするか
の3点だけを、落ち着いて伝えるほうが分かりやすいでしょう。
子どもと一緒に紙へ書いたり、簡単な絵で示したりする方法もあります。
約束どおりに終われなかったときは
始める前に約束していても、時間になったら素直に終えられるとは限りません。
「もう少し」
「今は途中だから」
「明日は短くてもいいから」
と交渉が始まることもあるでしょう。
そのたびに新しい条件を増やすと、終わりが分かりにくくなります。
まずは、
「もっと続けたいよね」
「途中だから終わりたくないんだね」
と、子どもの気持ちを受け止めます。
そのうえで、
「今日はここまでにしよう」
「続きは明日にしよう」
と、決めていた終わりを静かに伝えます。
感情が大きくなっているときに、長く説明したり説得したりしても、言葉が届きにくいことがあります。まずは終わることを手伝い、落ち着いてから次の日の方法を考えましょう。
守れない日があっても、やり直せます
夏休み中、毎日同じリズムを完璧に守ることは難しいものです。
保護者が仕事をしなければならない日。
子どもが疲れている日。
家族で映画を楽しむ日。
いつもより長く見る日があっても、それまでの取り組みがすべて無駄になるわけではありません。
「今日は守れなかった」と責め続けるよりも、翌日にまたいつもの流れへ戻ります。
暮らしのリズムは、決して崩してはいけない規則ではありません。崩れたときに、親子が戻ってこられる場所です。
大人自身の使い方も、できる範囲で見直してみる
子どもは、大人がどのようにスマートフォンやパソコンを使っているかもよく見ています。
仕事や連絡に必要な場合も多いため、まったく使わないことを目指す必要はありません。
ただ、
「今は仕事の連絡をしているよ」
「これが終わったら、スマートフォンを置くね」
と伝えることで、子どもにも始まりと終わりがあることを示せます。
食事の時間だけは家族みんなが機器を置くなど、大人も参加できる小さな約束を決めるのもよいでしょう。
動画やゲームの時間にも、始まりと終わりを
動画やゲームをただ禁止すると、大人が見ていないところで使いたくなったり、使うこと自体に強い執着が生まれたりする場合があります。
一方で、子どもだけに管理を任せることも簡単ではありません。
だからこそ、大人が枠をつくりながら、子どもが少しずつ自分で終えられるように支えていきます。
まずは今日、
「どこで終えるか」
を、始める前に一緒に決めてみませんか。
すべてを一度に変えなくても大丈夫です。
ご家庭で無理なく続けられそうな方法を、一つずつ試してみてください。
