スーパーで走り回る、イスによじ登る、触ってほしくない物に手を伸ばす…。「走っちゃダメ!」「触らないで!」と何度注意しても、いつの間にかまた同じことの繰り返し。
じつはその『伝わらなさ』には、子ども特有の『イメージの仕組み』が関係しています。
今回は、否定形を肯定形へ言い換えるだけで行動が変わる声かけを、日常での実践例とともにご紹介します。
なぜ「やっちゃダメ!」は届きにくいの? ― 子どもの脳とイメージのしくみ
まだ発達段階にある子どもの脳は、否定語よりも具体的なイメージを優先して捉えます。
たとえば「スイカのことを考えないで」と言われると、スイカを思い浮かべてしまうのと同じ原理です。
- 否定形 「走っちゃダメ」→ 『走る』 イメージが先に浮かぶ
- 肯定形 「ゆっくり歩こうね」→ 『歩く』 行動を具体的に描ける
イメージしやすい言葉ほど、行動につながりやすい――これがポイントです。
否定形を理解できるか確認
形合わせブロックを使った次のやり方で、否定形を理解できるかを見極めることができます。
- 三角ブロックを子どもに渡し「ピッタリはまる穴はどれ?」と尋ねる(→ 多くの子が答えられる)。
- 続けて「三角が入らない穴はどれ?」と質問する。
②に答えられないうちは否定形指示が難しいというサイン。肯定形で伝えるほうが届きます。
「ダメ」を「〜しようね」に変える言い換え例
- イスに立っちゃダメ → イスは座るところだよ。足は床にトン!
- 走らないで! → ゆっくり歩こうね。そうっと歩けるかな
- 触っちゃダメ → そっと撫でてみようか/見るだけにしようね
- 大声出さない! → 小さな声でお話ししよう。ヒソヒソゲームだよ
コツは「どうしてほしいか」を具体的にイメージできる言葉にすること。
小さなゲーム仕立てにすると、子どものワクワクもアップします。
まとめ 肯定系が、親子の明日をやわらかく照らす
否定形の指示が伝わりにくいのは、子どもの発達上、ごく自然なこと。
「ダメ」を「〜しようね」へ置き換えるだけで、行動も気持ちもスムーズになります。