「手! ほら、私のこの手!」
子供たちが可愛い両手を突き出しました。
算数のはずなのに、
自然と体が動いたのは、
シュタイナー年長クラスでの一コマ。
手を出すように指示したのではなく、
何か数を数えさせたのでもなく、
もちろん足し算を教えているのでもない。
子供たちは手を出したかった。
だってそれって、
自分に関係のある学びだから。
体を使わなければもどかしい、
そんな学びだったから。
その日の内容は「数の質」
聞き慣れない言葉ですが、
シュタイナー学校の1年生が最初にする算数。
つまり、数の世界の入り口です。
例えば、
「5」という数だったら。
「5」という数が印象的に登場する物語、
それをまず聴いてもらいます。
その物語の場面から絵を描く。
そこから「5」の数が持つ本質を、
子供たち自身が感じ取れるようにする。
これが「5」の数の本質ですよ、
と教えるのではなく。
子供たちが想像力をたくさん使って、
自分自身で「5」を味わえるようにする。
上から教え込むのではなく、
物語や絵を使って、
子供たちの心の内側から学びを始める。
そんなふうに、
数が持っている本質を体験すると。
足し算とか掛け算とか…
テストとか点数とか?
そんな大人になっちゃう前にさ、
海を見に行こうよって。
サンダルと麦わらを手渡すように、
子供は数と友達になれる。
学校ではしない「数の質」ですが、
計算を学ぶ前にやっておくと、
算数に対する姿勢もずいぶん変わる。
だって、数とは仲良くやれるってわかっちゃってるから。
1、2、3…
数を数える。
計算や点数や順位ではなく、
まるで靴下にプレゼントを入れてまわるサンタのように、
世界一素敵な数を子供たちと数えていく。