2-3年生クラス、重さの学習。
公立学校では2年生でする内容ですが、シュタイナー教育では教え方がちょっと違います。
単位や計算の前に、「重さって何?」に挑みます。
つまりは、重さというものの本質を学ぶ。
単位を覚えたり計算できるのはもちろん大事ですが、それは「重さ」というものの一部分でしかありません。
「重さ」という目に見えないものの全体をまず感覚で捉えられるようにする。
具体的には、「重さ」という概念が人間の歴史の中でどのように生まれてきたかを「物語」として先生が語ります。
そして、その物語の場面を絵にします。
でも、天秤だったらただ単純に天秤を描いたらよいというわけではないんです。
例えば、ちょっとやそっとでは倒れたり動いたりしないしっかりとした土台がまずある。
そして、そこからまっすぐでしっかりとした柱が垂直に立ち上がっている。
立ち上がった柱から、同じ角度同じ長さで左右に腕が広がっている…。
といったように、本当に木を削って天秤を作るかのように絵を描いていきます。
「この土台だと、ぐらぐらしちゃうかも?」
「柱が斜めになってたら、きちんと測れないよ」
などと、声かけもしていきます。
そんなふうに悪戦苦闘しながら絵を描いていくことで、「重さ」を測るというのはどんな感覚なのか、こうまでして正確に「重さ」を測ろうとしたのはどうしてなんだろう。
人間にとって、「重さ」ってどんな価値があるんだろう。
そんなふうに、言葉じゃない何かで子どもたちは重さについての全体的な感覚を働かせることができます。
効率は悪いかもしれませんが、子どもたちの心にしっかりと染み込むのは案外こういった「感覚」なのかもしれません。