お店の前で「これほしい」と見上げる子どもの目に、つい応えてあげたくなる——そんな経験、ありませんか?
でも実は、「欲しい」を叶えるだけが愛情ではありません。
気持ちを受けとめながらも、ときにやさしく線を引くことで、子どもは“自分”という輪郭を育んでいきます。
なぜ「拒否」することも必要なの?
子どもの「欲しい」という気持ちを叶えることは、愛情のひとつです。
しかし、いつでもどんな要求も応じてしまうと、子どもは「自分と世界の境界」を感じる経験が減ってしまいます。
自我の育ちは、“超えられない、自分と世界の境界”の中でこそ、ゆっくりと輪郭を帯びていくのです。
感情を受け入れ、要求を断る。実践のポイント
- 要求そのものにもっともな理由がなければ、きっぱり「今回は買えないよ」と伝える
- そのとき「欲しかったね」「残念だよね」と感情を受けとめる言葉を添える
- そのまま手をつないで離れるなど、態度で安心感を示す
こんなふうに、子どもの感情を否定せずにそのまま受けとめることは、安心と信頼のベースになります。
そして“ダメなときもある”という経験が、子どもが自分の感情と向き合い、折り合いをつける力へとつながっていきます。
子どもの怒りが怖い? 親の内側にも目を向けてみよう
子どもの怒りや泣き声に、不安になってしまうこともあると思います。
それはあなた自身が、かつて拒否されてつらい思いをした経験があるからかもしれません。
でも、子どもが自由に怒りを感じ、表現できる環境はとても大切です。
怒りに屈しないあなたの姿が、子どもにとって“安心して自分でいられる”支えになります。
シュタイナー教育における「境界」の大切さ
シュタイナー教育では、子どもが自由に成長するためにこそ、やさしい「境界」が必要だと考えます。
境界があることで、子どもは安心して“その内側で”自分を発見し、育っていけるのです。
親のあたたかなまなざしと、明確な姿勢が、自我形成の土台になります。
まとめ ほしい気持ちに寄り添いながら、未来の自立を育てよう
「ほしい」という子どもの声に、応えたくなるのはあなたがやさしい証です。
でもときには、愛をもって断ることも、大切なギフトになります。
感情を受けとめ、要求を断る——そのバランスの中で、子どもは少しずつ「自分であること」を育てていくのです。