シュタイナー教育は芸術的だと言われますが、芸術教育が目的ではありません。
つまりは、芸術するための技術やノウハウを教えているわけではないんです。
なのに、どうして絵や詩や歌や物語といった芸術をふんだんに取り入れているのでしょう。
それは、子どもたちと世界との関わりをじっくり考えているから。
「世界は美しい」
「世界って不思議でいっぱいだ」
こういった世界への直感のようなものを理屈じゃなくて、授業を通して体験できるようにする。
そのための芸術だったりします🌈
例えば、2年生の掛け算の九九。
一般的には繰り返し唱えたり書いたりして覚えることが多いと思います。
そこでの目的の大部分は、九九を覚えて使えるようにすることでしょう。
もちろん、それはそれで大事。
でも、こんなふうにしたらどうでしょうか。
二の段、三の段、四の段といったそれぞれの九九の段を、美しい図形に置き換えていく。
実際に九九にはある種の法則性があり、決まった順番で線を引いていくと美しい図形が出来上がります。
それも、それぞれの段によってできる形がまるで違うのです。
九九をしっかり覚えて使えるようにすること、それはそれで素晴らしいことです。
でも、九九がこんなにも美しい形になるんだということを授業で体験できたら、算数や数に対する感覚が変わってくると思います。
「九九って綺麗!」
「算数って面白い!!」
「どうしてこんな形が出てくるんだろう?」
芸術的に九九を体験することができたら、こんなふうに深みと広がりができてきます。
芸術的に満たされたレッスンを通して、子どもたちは世界の美しさ、不思議さをまず体で感じとることができます。