子どもが落ち着かない、イライラしやすい、甘えが強くなっている。
そんなとき、つい「しつけ」や「関わり方」を見直そうとしがちですが、
シュタイナー教育では、もっと手前にある大切なものを見つめます。
それが、朝と夜の生活リズムです。
生活の流れが整うと、子どもの心は自然と安定していきます。
シュタイナー教育が「生活リズム」を大切にする理由
シュタイナー教育では、子どもは「考える存在」である前に、
「感じ、身体で世界を受け取る存在」だと考えます。
だからこそ、毎日の生活がバラバラで予測できない状態は、
子どもにとって大きな緊張を生みます。
次に何が起こるのか分からない一日より、
「このあと、これが来る」と身体が知っている一日の方が、
子どもの心は安心して過ごせるのです。
朝のリズム｜一日を安心して始めるために
朝は、活動へ向かうための大切な準備の時間です。
ポイントは、特別なことをする必要はない、ということ。
- 同じ時間帯にカーテンを開ける
- 同じ順番で身支度をする
- 同じ場所で朝ごはんを食べる
この「順番」が、子どもにとっては見えない支えになります。
言葉で説明しなくても、身体が一日の始まりを理解するのです。
夜のリズム｜心を静かに一日を閉じる
夜は、外に向いていた意識を、内側へ戻す時間です。
刺激を減らし、ゆっくりと一日を閉じていきます。
- 照明を少し落とす
- 同じ順番でお風呂に入る
- 同じ歌、絵本で一日を終える
毎晩同じ流れで終わることで、
子どもは「今日はここまで」と心を休ませることができます。
リズムが乱れると、どんなサインが出るのか
落ち着きのなさや、強い甘え、理由の分からないイライラ。
それらは、性格やしつけの問題ではないことが多くあります。
生活のリズムが崩れているとき、
子どもは無意識のうちに不安を抱えています。
リズムを整えることは、
注意や言葉がけよりも、深いところで子どもを支えます。
完璧でなくていい、戻れる場所があればいい
毎日きっちり守れなくても大丈夫です。
週末に崩れても、長期休みに乱れても、問題ありません。
「また、いつもの流れに戻る」
その意識があること自体が、子どもの安心になります。
生活リズムは、目に見えない、やさしい抱っこ。
今日の夜も、いつもの順番で一日を終えてみてください。
まとめ
朝と夜の生活リズムは、子どもの心を静かに育てます。
しつけや声かけの前に、まずは一日の流れを整えること。
それは、親子の毎日を少し楽にし、
子どもが自分の場所に安心して立つための土台になります。
