子どもに声をかけても動かない――そんな日は誰にでもあります。言葉の「順番」を意識するだけで、子どもの心に届き、行動につながるケースがぐっと上がります。今回は、具体的な今日から使える声かけ術をお伝えします。
なぜ「言葉の順番」が重要なのか
子どもは先に指示や注意をすると、抵抗や防衛が生まれるため行動につながりにくくなることがあります。語りかける順番を「共感 → 行動サポート → 信頼」の3ステップにすると、心を開いた状態で次の行動へ移りやすくなります。
STEP1 まずは「共感」 — 心を受け止める最初の一言
共感は「あなたの気持ちを分かっている」というサインです。ここで急かさないことが重要。
具体的な言葉(例)
- 「今日はちょっとつらそうだね」
- 「そんなふうに感じていたんだね」
- 「今は動きたくないんだね、そういう日もあるよね」
声のトーンは落ち着け、事実をそのまま言葉にする。長く説明しすぎないこと。
STEP2 「行動へのサポート」 — 選択肢をそっと渡す
共感の後は「どうしたら良いか」を具体的かつ小さな一歩で示します。命令ではなく提案にすることで、子どもが自ら選べる余地を残します。
具体的な提案のコツ
- 小さく分ける:たとえば「服を着るよ」→「まず靴下を履こうか」
- 時間を区切る:一緒に5分だけやってみよう、と提案する
- 視覚の助け:やることを絵で示す、順番カードを使う
具体的な言葉(例)
- 「いまから5分だけ一緒に片付けてみようか?」
- 「まずはここから始めてみよう。終わったら一緒にお茶にしよう」
- 「こうやると楽になるよ、やってみる?」
STEP3 最後に「信頼」 — 子どもを信じる一言で背中を押す
最後に信頼を示すことで、子どもは自分に期待が向けられていると感じ、行動を起こしやすくなります。
具体的な言葉(例)
- 「けっこうできると思うよ」
- 「あなたならできるって信じてるよ」
- 「ゆっくりでいいよ、私は待っているよ」
親子でできるロールプレイング
声かけだけではまだ難しい場合、親子でちょっとしたロールプレイングをしてみましょう。ロールプレイングは言葉と行動で練習する安全な方法です。短時間でできる簡単な流れを紹介します。
やり方(15〜20分ぐらい)
- 場面設定(例えば、朝の支度)を決める。
- 役を交代してやってみる(親が子ども役→子どもが親役)。
- 終わったら「良かったところ」を一つずつ伝える。
短く、繰り返すことが大事です。ゲーム感覚で取り入れてみてください。
注意点と継続のコツ
- 毎回完璧を求めない。短い成功体験を積み重ねること。
- 親の感情が高ぶっているときは一呼吸おく(深呼吸)
- 子どもの反応を観察し、言い回しを微調整する
まとめ
「共感 → 行動サポート → 信頼」の順で言葉を編むだけで、子どもの心はほぐれ、行動へつながる可能性が高まります。まずは一つの場面で今日から試してみてください。
短いロールプレイングを家族で取り入れると、日常的に使える力になりますし、親子の楽しい思い出にもなります。
