子どもが少しずつ大人の視点を持ち始める9歳前後。 この時期の心の揺らぎを「9歳の危機」と呼びます。 親としてどう接していいか悩む瞬間も増えるこの時期に、特におすすめしたい絵本が『たいせつなこと』。 今日は、この絵本の魅力と、9歳の危機を迎えた子どもに与える力について詳しく紹介します。
9歳の危機とは?
9歳頃になると、子どもの行動や態度に変化を感じることが増えます。 例えば…
- 急に一人で考え込むようになる
- 今まで楽しんでいた遊びに興味を示さなくなる
- 親に反発する一方で甘えを見せる
この時期は、「自分」と「世界」を切り離して捉え始める重要な成長のプロセスです。 このため「9歳の危機」とも呼ばれ、子どもが心の揺らぎを経験しながら自我を深めていく過程と言われています。
絵本『たいせつなこと』とは
『たいせつなこと』は、マーガレット・ワイズ・ブラウンによる詩的な絵本です。 小さな日常のものたち(コップやリンゴなど)を題材にしながら、その本質や意味について問いかけます。 絵を手掛けたレナード・ワイスガードの緻密で暖かなイラストが、詩のような言葉と絶妙に調和しています。
この絵本が特に響くのは、以下のポイントです。
- 日常の中にある「そのものらしさ」を描き出す独特の視点
- 穏やかで静かな語り口
- 「あなたがあなたであることが大切」 という普遍的なメッセージ
『たいせつなこと』が9歳の子どもに響く理由
9歳の子どもは、これまでの無邪気な世界観から脱却し、現実的・観察的な視点を持ち始めます。 『たいせつなこと』は、この成長段階にある子どもに次のような力を与えます。
1. 心の揺らぎに寄り添う
穏やかな言葉と暖かな絵が、心の不安定さを受け止める包容力を持っています。
2. 自己肯定感を育む
「あなたがあなたであることが大切」というメッセージが、自分に価値を見出す力を養います。
3. 観察と感性を磨く
絵本を通じて、日常の中にある「たいせつなもの」を見つめる目が育まれます。
『たいせつなこと』を読むタイミングと活用法
この絵本は、特に次のようなシチュエーションでおすすめです。
- 子どもが一人で考え込むことが増えたとき
- 他者と自分を比較して悩んでいる様子が見えるとき
- 心の揺らぎを受け止めるためのヒントが欲しいとき
親子で一緒に読みながら、感想や感じたことを話し合うことで、子どもの気持ちを理解するきっかけにもなります。
まとめ
9歳の危機は、子どもが自我を深める大切な成長の一過程です。 その心の揺らぎに寄り添う絵本『たいせつなこと』は、親子で迎える成長のひとときに特別な意味を持ちます。 この冬の夜長に、ぜひ手に取ってみてください。