教育って押し付け?
多分、親ならみんな考えること。
「こうだよ」
「こうするよ」って。
親だって本当はわからないのに、
いいんだろうか?
もちろんある意味では、
親の価値観の押し付けです。
けれど押し付けてくれたからこそ、
子どもは生きていけるのも本当。
だって、
子どもはまだ「自分」をはっきりとは持っていない。
まだ柔らかいし、
大人みたいには判断できない。
むしろ、無批判にどんどん取り込んでいく。
だからこそ、
親の中にある「良いもの」を伝えていこう。
伝えた良心は、
子どもの道徳心と理想になっていく。
小さな時に親から受け継いだ、
「こうしたほうがいい」
「こうありたい」
は子どもを自由にしていく。
もちろん、親の負担は軽くない。
不便だし、不幸を生むことだってある。
押し付けずに済むなら、それがいちばんかも。
でも、人ってそういうふうにはできてない。
親からもらったものがなければ、
やっぱり育っていけないんだ。
大人になれば誰だって落ち込む。
この子だってそう。
一人きりで肩を落とし、
人知れず涙を流すだろう。
そんな時、
自分だけじゃどうにもならない時、
親からもらった理想が導いてくれる。
「今はこうだけど、本当はこうなりたい」
「世の中って、もっと良くしていけるはず」
かがり火のように闇を照らし、
子どもの中でもういちど親が蘇る。
もう一緒にはいられないけれど、
そこにあるのは見えない親の力。
おそれずに、
あきらめずに、
この子に「わたし」の良心を伝えよう。
私から立ち去ったその後、
あの子の中で、
「わたし」にはまだできることがある。