親だから、叱る。
でも、叱り方は誰も教えてくれなかった。
準備体操なしでプールに飛び込むみたい。
みんな、どんなふうに叱っているんだろう?
声を張ったり怖がらせなくていい。
そんなふうにすると、親が疲れる。
ひどく嫌な気持ちになる。
こんなことしたくないのにって、
行き場のない気持ち。
叱るときは家事とか他のことはいったん置いて、
子どもとだけ向き合う。
お腹の中でこの子を包んでいた時のように、
ただそこにいる。
「そうなんだね。そう思うんだね。
でも、今はこうするよ」
そんなふうに、
普通のことを普通に聞かせてあげる。
この子がそれをやるところまで見届ける。
そばで見守ってあげる。
子どもが興奮しているようだったら、
場所を変えてあげよう。
部屋を変えるだけで、思いがけず子どもは落ち着く。
興奮して話が聞けないようだったら、
「おちつく、おちつく」と、
静かに穏やかに声をかけてあげる。
背中をトントン優しく叩いてあげてもいい。
まず落ち着く。
そして、話を聞けるようにしてあげる。
声のボリュームを上げると、怒鳴り声になる。
向き合う時間を増やすと、包み込む愛情になる。
声の大きさや怖さじゃない。
子どもは時間で叱ってあげる。
「こうするよ」って、
どうしたら良いのかを伝える。
それをするところまで、
「わたし」の時間を注いであげる。
まるで、必要な時に降る雨みたい。
叱ることは、
子どもという土を整え生きる力を育てる。