「くやしいの〜」
四つ角の手前で見つけた、年中さんぐらいの女の子。
口をへの字に曲げてる。
スイミングの帰りらしくって、
頭にはタオルキャップ(猫ちゃん)
「勝ちたかったー!」
女の子は目が三角で、
お母さんは困り顔。
「まあ、仲良くしたらいいじゃない?」
競争も楽しい。
多分、子供を育ててくれる。
だけどお母さんの顔が曇っていたのもわかる。
勝ち負け気にしすぎ?
大丈夫かなって。
そう思っていたのかも。
子供が小さい時って、
勝ち負けをあまり親が言わないほうがいい。
だって、それがすべてじゃないから。
泳ぐのってたのしい。
水の中にいることがおもしろい。
隣に友だちがいるってうれしい。
勝ち負けにこだわりすぎると、
本当に大切なことに気がつかない。
はっと振り返ったとき、
思い出がなくなっちゃう。
体を動かすのがたのしい。
生きていることがうれしい。
ここにいることが幸せ。
勝ち負けじゃない生き方は、
あたりまえはあたりまえじゃないんだって気づかせてくれる。
まずは自分。
親である自分自身が、
勝ち負けじゃないところに価値を見つける。
勝ち負けの外に転がってる喜びに「いいな」って。
簡単なようで難しい。
難しいけれど大切なこと。
勝ち負けだけじゃ幸せになれないって、
私たちは知ってるから。
だからこそ伝えられることがある。
「手をつなぐっていいね」
「一緒にいるとあったかいね」
そんなことを言い合いながら、
明日も子育てできますように。