シュタイナー教育のレッスンの最後には、お話の時間というものがあります。
グリム童話などを素話で聞いてもらうのですが、2-3年生クラスでお話を始めたら…
「うわ〜」
「あぁ〜」
と、子どもたち。
理由は、お話の登場人物が実に愚かなことをするから。
「なんで、お酒ばっかり飲むの?」
「なまけてないで働いて〜」
と、子どもたちもやんややんや。
そして、お話の人物が最後に改心すると…
「よかった〜!」
「初めからそうすればよかったのにー」
などと、まるで親のよう(笑)
怠け癖とか、楽したいとか、なかなか改められないとか。
そういうのって誰にでもありますよね。
子どもだってもちろんそうです。
でも、できていないことを説教されるとやっぱり子どもだって面白くない。
それに、言葉で言われても人ってなかなか受け入れられないものです。
だけど、お話だと素直に自分自身と向き合えることがあります。
お説教ではなく、楽しいお話として物語の中に想像力を使って入っていく。
そこで体験したものが子どもの心の奥深くに沈み込み、いつしかより良い方向に自分を変えてくれたりすることも。
そういうお話のことを、ペタゴジカルストーリーといいます。
大昔から語り継がれ、今も生きている大人の知恵。
そして、子どもにとっての心の栄養。
子育てって一筋縄ではいきませんが、それは今の人も昔の人も同じ。
子どもとの関係がうまくいかなかったり、どうしたら伝わるのか困ってしまうような時、ペタゴジカルストーリーを使ってみるのもいいかもしれません。
かといって、何か本を読んだり難しいことを考える必要もないんです。
お母さんも昔同じようなことがあってねとか、お父さんは子どもの頃にこんな失敗をしたんだよ。
など、体験談も立派なペタゴジカルストーリーになります。
親が子どもに語る。
お父さんお母さんが自分と向き合って話をしてくれる。
そこには温かい愛情があり、世代を超えて受け継がれる知恵が溢れています。