「おとうさん、これ…」
7歳の娘が持ってきました。
「ああ、これ」と受け取ると、
娘はなんだか困った表情。
「捨てたくはないけど、
もうつかわない。
おとうさん、もらってくれる?」
手のひらでかすかに震えるのは、
一年前に園でつくった織物。
「そっか。
じゃあ、お父さん預かっておくね」
ぴょんと飛び跳ねかけていく娘。
「どんどん成長するなぁ」と僕。
「一年前はあんなに喜んでいたのに、
ずっと使うって言ってたのに」
親が思う以上に子どもの成長は早い。
わかっていても、
さみしいのはいつも親。
もう使ってないもの。
仕舞い込んでいるもの。
おもちゃ箱を派手にひっくり返して、
そうっと静かに引退させよう。
子どもに必要なのは、
いつだって今ここ。
成長を支えてくれるもの、
伸ばしてくれること。
そして、
ほんの少し先の成長を垣間見せてくれるもの。
「親もいつかは離れなきゃな。
まあ、まだずっと先のことだけど」
そう思いながらも、
子どもの成長にドキドキします。