「しぬのがこわい〜」
子どもがそんなふうに言ってきたりする。
もちろん戸惑う。
「 そんなこと思わなくていいよ」
「こわくなんかないよ」
そう言ったものの、おさまらない。
かといって、
こわくない理由をあれこれ説明しても、
子どもの顔は曇ったまま。
それもそのはず。
死というものがこわいのは、
よくわからないから。
子どもはよくわからないからこわいのに、
さらによくわからない理由を説明されても、
よけいにこわくなったりもする。
じゃあ、なんて言ったらいいんだろう?
「そんなことも考えられるんだ、
成長したね」
「 自分で安心できるように、
考えてるんだね」
そんなふうに言ってあげる。
「あなたが感じていることは悪いことじゃない」
「あなたの考えは大事だよ」
子どもがそう思えるように、
言葉を差し出してあげよう。
だって子どもって、
こわくない理由が知りたいんじゃなかったりする。
子どもが知りたいのは、
「この考えって、良いことなの?」
「僕は変じゃない?」
子どもが親に聞きたいのは、
僕は大丈夫だよね?っていう安心感。
だからこそ、
子どもが感じていることを受けとめてあげたい。
大きく成長したんだね。
そんなふうに心の準備をしてるんだね。
気持ちの柔軟体操をしているんだ。
受けとめてあげる。
あなたが感じていることも、
あなたも大丈夫なんだよって。
子は、小さな手を見つめて思う。
僕は大丈夫なんだ。
僕の考えも、僕も大事なんだ。
めぐりめぐって、
そのメッセージは生きることにつながる。
僕が生きていることは大事。
僕の考えも、僕にも価値があるんだ。