食卓でこしらえる童話

難しく考えなくていい。
子どもの感性って、
ちょっとしたことで育てられる。

例えばリンゴ。
どんなふうに切ろうか。

普通に櫛切り。
それとも、うさぎさん。
皮を薄くむいてヘビさん。

想像していると、
子どもの笑顔が浮かんでくる。
自分も楽しくなってきたら、
こんな切り方もしてみよう。

縦ではなく、
まっすぐ横向きに切ってみる。
すると、りんごの断面に星が現れる。
大地から育った実に輝く美しい星。

どうしてだろう。
どこからやってきたの?

子どもが小さいなら、
ファンタジーで。

「りんごの花が夜空を見ていたんだね。
お星さまとお友達になったのかな」

食卓の上にこしらえる、
小さな童話。

自分も子どもも楽しくなってきたら、
他のものも切ってみよう。
きゅうりやオクラ、
いろんな形に切ってみる。

手先を使うからこそ、
心にも響く。
心で感じとるからこそ、
しっかりと記憶に残る。

食卓の上でこしらえる、
小さな童話。

ささやかなことの中に豊かさがある。
こまやかさの中に本当がある。
この子にも、
届きますように。

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