「キツネ、かわいそう」
「オレもこういうことあるなぁ」
子どもたちの表情がハッと変わるのは、
シュタイナー2年生レッスン。
イソップ寓話です。
『キツネとブドウ』というこのお話。
ある時キツネはブドウを見つけます。
でも、手が届かない。
背伸びしてもダメ。
飛び跳ねても同じ。
そこでキツネはこう言って帰ってしまいます。
「どうせ、おいしくないに決まってるよ」
道徳話といえばそうかも。
でも、先生は何かを教え込んだりはしない。
ただ、子どもが夢中になるようにお話を語る。
それでも子どもたちはあれこれ考え、
その小さな手のひらを握ったり開いたり。
それって、心が動いたから。
お説教はいくら声を張り上げても届かなかったりする。
頭だけで教えようとしても、
言葉は子どもの心からこぼれ落ちていく。
まずは水路を引くみたいに、
子どもの心がこちらに向くように。
とびっきりのお話を語る。
自分の体験談でいい。
「お母さんもこんなことがあってね」
と、対話するように話していく。
大人になって振り返ったとき、
心に残ってるのはお説教じゃない。
人を変えるのは一発のげんこつではなく、
心震える話だったりします。
教え込もうとする前に、
お話という体験をあげること。
子どもは自分に必要なことを学んでいける。