手のひらに冬を光らせて

冬の遊びはやんなきゃなんない。
こんなに寒くって、
お家にいたいのに、
子供は服の裾をつかんで外へ引っ張っていく。

「あなたもウン十年たったらこっち側」
心の中でそう叫んでも、
今日も明日も寒空の下。

だからってわけじゃないけれど、
金属の器に水を溜めてベランダへ。
キーンと夜空が凍りつけば、
子供の手の中で光る氷。

子供が小さいのなら、
どうして氷になったのかはナイショでいい。
言葉の前に、頬にくっつけてやれ。

それはベランダで生まれた小さな弟。
艶やかで透明な心を持つ。

飲み物を冷やしてもいい。
冬にかき氷もいいけれど。
例えば、絵の具で絵を描こう。
氷の上で絵の具を自由にさせよう。

「さあ、どうなるかなぁ?」
にっこり微笑んだなら、
ぜひ黙って子供を見ていてあげてください。

絵の具と混ざり合って輝くのは、
子供の心。
深まっていくのは、
冬の最中の感性。

たくさん遊んだら、
ぜひ氷が溶けてしまうところまで見送りましょう。
蛇口の下で溶かしてもいい。
お風呂であっという間に溶けていくのを見てもいい。
でも、もしできるなら…
子供の手のひらの上で溶けていくのを見つめましょう。

自分の手の温かさ、
氷の冷たさ、
そしてはかなさと愛しさ。
手のひらの上で溶かすことで、
子供の心がそれを見つめる。

ほんのちょっとのこと。
ほんのちょっとの遊び。
ほんのちょっとの心の使い方。
そんな積み重ねこそが子供を幸せにします。

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