自由じゃないけど、自由になれる

保護者の方がこっそり教えてくれました。
息子さんがシュタイナー教室について、こんなふうに話したそうです。

「シュタイナー教室は自由じゃないけど、自由になれる」

この子の言葉の中にシュタイナー教育の大事が詰まっている、そう感じました。

シュタイナー教育は決して自由じゃありません。
一斉授業だし、机も椅子もあるし、時間割だってある。
でも、この子が言う通り、だからこそ自由になれるのも本当。

子どもが大人になったとき、自由な人になるにはどう育てたら良いか。
ありのままのその子でいてもらうには、どんなことに気をつけたら良いのか。

もし、自由でありのままのその子でいて欲しいのならば、健やかな枠を作ることが大切だったりします。
それは例えば、椅子に座り黒板に向かうことかもしれません。
時間割通りに学習をすることかもしれない。
あるいは、様々なルールだってあるかも。

ある意味では、枠で囲うのは自由を奪うように見えるかもしれません。
けれど、そういった枠があるからこそ人は自由になっていけるものです。

例えば、絵を描くときやピアノを弾く時もそうです。
絵を描くときには、多くの場合決められた形の決められた大きさの紙にある程度決まった画材で絵を描きます。
ピアノの鍵盤の数も決まっています。音の高さも決められた音階があります。

決められた大きさの紙や、決まった数の鍵盤。
それらは不自由なようでいて、実はその枠の中にいるからこそ人は自由に想像力や才能を発揮することができます。

どんなものでも何でも良いと言われ、絵を描く。
無限に広がるピアノの鍵盤を弾く。
そんな一見自由に見えるものの方が、人を不自由にすることがあります。
人は健やかな枠の中にいるときに、むしろ想像力や才能を発揮できるものです。

「自由への教育」
それがシュタイナー教育で大事にしていることで、子どもたちが本当に自由になれるためにかえって不自由にしていることもあります。

子どもたちが大人になった時、ありのままの人間でいられるために、シュタイナー教育にできることを今日もていねいにやっていきます。

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