シュタイナー教育を選んだ理由

世の中にはいろいろな教育があって、どれもよく考えられていて、なるほどなあと感心させられます。では、その数多い中でどうして僕はシュタイナー教育を選んだのか。それは、自分の子どもに受けさせたいと思える教育だったからです。

そもそもの始まりは大学生の時でした。たまたま手に取ったシュタイナー教育の本を開き、「こんな教育もあるんだ」と目から鱗が落ちたのを覚えています。けれど、学校の先生を志していた僕はシュタイナー教育に憧れを持ちつつも公立学校の先生になりました。その時は、自分がシュタイナー教育に関わることになるなんて思ってもいませんでした。

ところが、結婚して娘が生まれ、「さて、自分の子にはどんな教育がいいかな」と考えたとき、まっさきに頭に浮かんだのはシュタイナー教育だったのです。本で読んだのは20年ほど前のことだったのに、自分の中に何かが残っていたのだと思います。

改めて学び始めると、シュタイナー教育は本当によくできているなと思います。どこが優れているかについてはまた少しずつ書かせてもらいたいのですが、僕がいちばん心惹かれたのはやっぱりこれかもしれません。

シュタイナー教育では、「変容」を大事にしている。

「変容」といきなり言われても、何のことだかわかりませんよね。僕も最初はそうでした。なぜなら、この「変容」というのは一般的な教育ではほとんど考えられていないことだからです。だから、僕を含めほとんどの人は「変容」を大事にした教育を受けたことはないですし、想像しにくいと思います。

具体的に、「変容」を説明してみようと思います。

例えば、シュタイナー学校では授業の最後にお話をします。グリム童話など、絵本を使わずに語る素話です。絵を見せられないので、子どもたちは想像力を使って自分の心の中に絵を作ります。この想像力が青年期に別の力に「変容」するといいます。将来の夢を描いたり、あるべき社会の姿を思い描く力です。つまりは、子どもの時に養った想像力が、将来的には未来を思考する力になるらしいのです。

だから、シュタイナー教育ではその時期に合った教育をします。例えば、子どもに思考力をつけようと思ったとき、一般的な教育では小さいうちから考えることをたくさんさせようとします。反復練習のように思考力を鍛えていけば、大人になった時に優れた思考力を持つ人になるだろうと。でも、シュタイナー教育の考え方は少し違っているみたいです。長期的な視点で子どもの成長を見るからこそ、「今はやたらに考えさせるよりも、童話で想像力を伸ばそう」と考えます。

シュタイナーは教育の目標をこのように語っています。

「真に思考力のある、自立した人間になること」

これ自体は、よく聞く教育目標です。ただ、その目標にきちんと到達するためにはそれぞれの時期でやるべきことがある。ここに、シュタイナー教育の深い眼差しがあるように思います。そしてこのすこやかな奥深さが、僕が自分の子どもにシュタイナー教育を受けさせたいと思う理由であり、できるだけ多くの子どもたちにこの教育を届けたいと思う理由でもあります。

子どもの内面を養うことは、その子の思考力の土台になる。シュタイナーはそう言っています。では、どんなふうに内面の力を育てるのか。一度体験してみませんか。「保護者のための授業体験会」では、2年生の掛け算を体験できます。掛け算の九九に隠された美しいもの、心揺さぶるものに出会いにぜひお越しください。