手から手へ、心から心へ。

親が本当に大切にしていることって、子供に直接語ることはできないかも?
そんなふうに思う出来事がありました。

ただいま京都シュタイナー教室は授業参観週間なのですが、レッスンが終わった後に保護者の方さまざまに声をかけてくださいます。

木曜はこんな一言をいただきました。
「レッスンの最後で語ってくださったあのお話、私も大好きなんです」
そのかたは、子供の頃にそのお話を読んで大好きになって、今でも大切にしている物語だそう。

その日語ったお話は、マルシャークの「十二の月の贈り物」。
無理難題を言い渡された女の子が森の中に入っていくと、焚き火の周りに 1月から12月までの十二の月の精霊たちが座っています。精霊たちは女の子を助けてあげようと、魔法の力で冬の最中だった森の中を春にしたり夏にしたり秋にしたり。
魔法の描写も素晴らしいのですが、何より目に見えない大きな力で子供が守られるところが心に染みます。

きっと、「そのお話、好きなんです」とおっしゃった保護者の中にも、こんな心のあり方があったのかなと。

私は大丈夫。
現実は厳しいかもしれないけれど、きっと大丈夫。
私は世界に祝福されている。

そんな、 言葉では言い表せない尊い気持ち。
でもそれって、子供に直接言葉で伝えるのって難しい。
「これが大切なんだよ」と言っても子供はポカン。
「ほら、大切にしているでしょ」と言っても、そんなものかなと思う。
本当に大事なものって、背中でしか伝わらないものかもしれません。

けれどお話という物語を通してだったら、まるで栞を挟んだ場所まで一緒に手渡せるように、子供へと伝えられる。

実際、自分が子供の頃から大切にしてきた本を子供に読んであげるとき。
「これはお母さんがずっと昔から好きだった本だよ」と言う。
実際に自分が子供の頃に読んだ(年季の入った) 本を出してきて、「読んでみる?」と言う。
それだけで、言葉にはならない何かが伝わります。
そして言葉にしないものだからこそ、子供の心の中へしっかりと伝わります。
大事なものほど言葉にはならないのかもしれません。

手から手へ。
心から心へ。
大切にしたいものが子育てを通して、今日も子供の内面へと染み込んでいきます。

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